お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
こんなに好きにさせるなんて

 金曜日の昼休み。食事から戻ると、『明日は一日開けておいて』と拓海からメッセージが入っていた。

 幸いこの週末はなんの予定もない。「なんだろう?」と不思議に思いつつ、『わかった』とだけ返事をした。忙しい仕事の合間を縫ってメッセージを送ってくれた拓海の邪魔をしたくなかったからだ。


 その日、いつもより少し早めに帰って来た拓海に訊くと、意外な返事が返って来た。

「この間行けなかった食事のリベンジをしようと思って」

「どういうこと?」

 明日、私たちが通っていた大学の近くで夏祭りが行われるらしい。そこに連れて行くというのだ。

「昼間から露店も出るし、色々イベントもやってるらしいんだ。夜は花火大会もあるし、久々にゆっくりしよう」

「嬉しいけど、仕事は大丈夫なの?」

「どうしても夏美と行きたくて、死ぬ気で終わらせてきた」なんて嬉しいことを言ってくれる。

「もう一つ、サプライズがあるから期待しててくれ」

 サプライズの中身が知りたくて、しつこく拓海にきいてみたけれど、頑として教えてはくれなかった。


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