好きなんだから仕方ない。

でしゃばらず

その手を離してくださいと言えたら良いのに。どうして俺は王族として産まれ育たなかったんだ。そうすれば彼女に触れるなと怒鳴れるのに。エイミア様に頼らなくても国を変える事が出来たかもしれないのに。

「結果を報告しなさい。金も使わず、地位も名乗らず、どれほどの物を集められたのか見せておくれ」

「では、まず長男である私から」

大広間に入ると、早速試練の結果報告会となった。兄二人はどうやって入手したのか、新鮮で形の良い食物ばかりを集めてきている。それも、ここへ運びきれないほどに。
二階建ての民家一つ分くらいある倉庫に置いてあると言って兵士たちが確認しに行っていた。長男は倉庫二つ分、次男は倉庫一つ半。策略を練った長男の頭脳が次男の勢いに勝利した瞬間だった。
今回のエイミア様に勝ち目はない。倉庫一杯になんて溜めていなかったしもらってもいない。だってエイミア様は倉庫一つすら満杯に出来なかったのだから。
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