好きなんだから仕方ない。
七章・強制的な最終地点

大丈夫、これが全てじゃない

どこにも行く宛が無いのならと宿屋の息子の提案で暫く一緒に旅をする事になった。でも、ただふらつく訳じゃない。
カナケトが持っている情報を頼りに子供たちの家族も捜した。ほとんどの子供が親元に帰り、普通の笑顔を取り戻していた。でも、皆が幸せになった訳じゃない。
今さら帰ってこられても困ると今の現状に満足していたり、いなくなった頃から時間が進まずに自分の子供はこんなに大きくないと目を背けられたり。家族から一緒に生きる事を拒否られた子供もいた。
自分と重ねる部分があるのか、行き場の無くなった子供の手をカナケトは繋いで離さなかった。子供好きなのか、境遇が仲間意識を芽生えさせているのかは分からない。
ただ、最低だとは分かっていても思わずにはいられなかった。見ていたくなかった。その子供たちを通してエイミア様とカナケトが幸せそうに笑い合ったり同じ感情を共有し合ったりしている現実が耐えられなかった。

「そんなに気になるならクロエラも入っていけば良いだろう?」

「ダメです。幼い方々はこういう気持ちに敏感ですから。幸せそうな笑顔を崩す訳にはいきません」
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