好きなんだから仕方ない。

大丈夫です

何もしないで一人にはさせない。俺のために泣いてくれた彼女を守れない人生は歩まない。歩みたくない。

「エイミア様、お気を確かに。少し頭の中を整理されてはいかがでしょう」

「・・・、・・・あっ、クロエラ?無事なの?体は?」

「問題ありません。エイミア様のおかげです」

「良かったぁ・・・」

正気を取り戻したのか、慌てる彼女の手を胸に当てるとやっと泣いてくれた。心臓の鼓動を感じて安心してくれたのだろう。悲しみから来る泣き顔とは違う物だった。
死んだはずの俺に彼女が何をしたのかは分からない。どうして生きているのかも、自分が死んだと思い込んでいただけなのかも分からない。でも、今ここで彼女にちゃんと触れられている事実は変わらない。
抱き締めたい衝動を抑えながら、エイミア様が泣き止むのを待った。
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