好きなんだから仕方ない。

届いてくれ

エイミア様は元気にしていらっしゃるだろうか。故意に外部との接触を断たれているからなのか、送った手紙は全て戻ってくる。
本人が送り返しているという事も考えられるが、あり得ない話だ。どれだけ嫌っている者からの手紙でもちゃんと返事を書いていたエイミア様が送った手紙を受け取り拒否しているなんて考えにくい。どれだけ嫌っていても郵便屋の苦労を考えて受け取りはするはず。

「クロエラさん、また書いているのですか?」

「執着していて気持ち悪いですか?」

「いえ。私にも身に覚えがありますので」

手紙を出しにいこうと扉に手をかけた時、長男の専属の女中だった女が話しかけてきた。地位が変われば仕える相手も変わる。今は俺が長男の専属の執事。女は奥様の専属の女中に変わった。
もう、長男と深い関係ではないそうだ。最初から命令されていた範囲内でしか会っておらず、恋愛感情はあって片方だったのだろう。
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