好きなんだから仕方ない。

あなたのためなら

国王は言った。“憶測だけで数十人の兵士を動かす訳にはいかない”と。分かりきっていた事だ。予想外でも何でもない。でも、こうとも言った。“すぐに動けるよう準備をしておくから証拠を掴め。掴んだらこの鷹を城に戻って来させよ”と。
何も付けぬようにとも命じたのはきっと付けれぬ状況に陥った時のためだろう。後は狩られる可能性を少なくするためか。足に文を結んだり咥えさせたりすれば、それを目当てに撃ち落とす者もいるからな。

「馬車をお貸し頂き、ありがとうございます」

「いえ、エイミア様のためとあらばいつだって構いません。・・・宜しくお願い致します。お前たちも頼んだよ。また遊びにおいで」

「おー、元気そうで良かったわ。じゃあおっさん、出発すんぞー」

城の馬車で行く事も出来たけれど身構えさせて見える物も見えなかったら困る。その話を宿屋の主人にした所、自分の息子が旅商人をしていて発つからと乗っていけるよう交渉してくれたんだ。
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