その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―

II




新入社員が配属されてきてから2週間。

今年の新入社員の中で一番可愛いと噂されているらしい新城さんと、素直で礼儀正しく人懐っこい雰囲気の桐谷くんのおかげで、企画部内はそれまでよりも活気付いていた。

企画部長や私が業務の手伝いを頼むこともあるけれど、基本的な電話対応や通常の業務は教育担当の広沢くんと秦野さんに任せている。

ふたりからの指示を受けやすいように、桐谷くんは広沢くんの隣に。新城さんは秦野さんの隣に座ってもらっていた。

新入社員ふたりの日報と、教育担当のふたりが毎日メールで送ってくる報告書に、私がそれぞれ目を通す。

それを見ていると、素直に人の話を聞いて飲み込みの早そうな桐谷くんのほうは問題なさそうなのだが。

なんとなく、秦野さんが新城さんに手こずっているようだった。


新城さんの日報は誤字脱字が多くて、内容にも纏まりがない。

秦野さんが出した指示をよく聞いていなかったり、何度も同じミスをして注意されているのが遠目にも目立つ。


< 21 / 218 >

この作品をシェア

pagetop