一匹狼くん、 拾いました。弐
玩具。


「ミカ、もうすぐテストだけど、お前授業ついていけてんの?」

 放課後。帰り支度をしていると、スクバを肩にかけた仁がそんなことを聞いてきた。

「……なんとかな。これからは勉強ちゃんとするつもり。留年とかだるいし」


「……!
前はどうでもいいって言ってなかったか」

 目を見開いた後、仁は笑って言う。

「……そりゃ、生きててもしょうがないって思ってたからな」

 そう言い、俺はスクバを肩にかけて、仁と一緒に教室を出た。

 親父が刑務所にいってから、三ヶ月がすぎた。 今は七月の末頃で、あと一週間くらいで、期末テストがある。

「……思ってたってことは、今は考えてないんだな?」

「……まぁ、否定はしねぇよ」

「ククッ、そうか」

 笑いながら、仁は俺が被っているパーカーのフードの上から頭を撫でてくる。

「……やめろよ」

「はいはい」


< 1 / 213 >

この作品をシェア

pagetop