一匹狼くん、 拾いました。弐
「……待って俊平!どこに行くの?」
「どこでもいいだろ」
「良くないわよ!お母さんは、俊平が心配なのよ」
俺はテーブルの上にあったコップを掴むと、中にあった水を母さんにぶっかけた。
突然の出来事に驚いて、ファミレスにいるあらゆる人達の視線が俺たちに向く。
「……心配ねぇ? 十年も放ったらかしにしたくせに、本当によく言えるな? ……もうこりごりなんだよ!大人に振り回されるのなんて!」
「……俊平」
涙を流しながら、母さんは言う。
「……俺、もう母さんとは暮らせない。荷物まとめて、家出てくから。……探さないで。パフェは、キャンセルしといて」
俺はそう言うと、母さんの腕をふりほどき、走ってファミレスを出た。