「お前ら夏休み何するんだ?」

 カウンターのテーブルに皿を三つ置いて、葵は首を傾げる。

 それぞれの皿にはサラダ、鮭、あと肉じゃがなんかが乗っかっている。

 油っこいのが無い。俺のリクエスト通りの料理だ。

「特に決まってないな。ミカ、どっか行きたいとこあるか?」

 仁が首を傾げて聞いてくる。

「……わかんね。夏休みって普通どこ行くもんなの?」

「は?そこからかよ!」

 廉が大きな声を上げる。

「……だって夏休みに誰かと長い時間遊んだことなんかないし」

 楓とのデートは親父に見つかって最悪の結果になったし、本当に誰かと五時間以上遊んだことがない。

「夏休みといえば、海やプールだろ。あとは、花火大会とかもあるんじゃないか?」

 仁が冷静に言う。

「……俺、花火見たことない」

「え? マジで?」

 また廉が反応する。

「じゃあ花火大会はとりあえず行くの決定だな」

 結賀が笑って言う。

「さんせーい!」「了解」

 伊織と廉も賛同するように声を上げた。

「仁?」

 俺は返事をしない仁を見て首を傾げる。

「花火大会はいいけど、ミカ、お前夏休みとかそういうの無しで考えたら、何やりたいんだ?」

「……みんなで都会の方行きたい。豊島とか、渋根とか。それで食べ歩きしたり、カラオケしたりしたい」

 ドラマなんかでよく見る同級生か、または先輩と後輩が歩きながら何かを食べたり、雑談したりして一日好きなように過ごすのに密かに憧れていた。岳斗や楓達と学校帰りに遊んで門限まで時間を潰してたことは少しだけあるけど、同級生と一日過ごしたことなんて一度もなかったから。


「りょーかい。じゃ、まずは花火大会の前にそれだな」

 俺の頭を撫でて、仁は笑う。

「……ああ、ありがとう」

「おう」

 俺が礼を言うと、仁はまた嬉しそうに笑った。