君がいたから

初詣 蓮side


次の日、俺は仕事が終わった後に白血病の治療の論文を読んでいた。
すると、俺の目の前に陽翔先生がきた。

「蓮、まだ残っていたのか
これから結菜と3人で初詣行かない?」


結愛のことで頭がいっぱいで何日かなんて意識してなかったけど
今日は大晦日で、時刻は23時過ぎ。



特別神様を信じている訳ではなかったけど、
もうすぐ新年が始まる。

結愛にとって楽しい1年になるように、
結愛の分もきちんとお祈りしないと。


「はい、行きます 」


「じゃあ、結菜部屋の外で待っているから早く来て 」


一応病院内だから、暖かいとはいえ、
結菜さんを待たせるのは悪いから急いだ。


「蓮先生、こんばんは 」


俺を見るとニッコリ笑顔で挨拶をしてくれる結菜さん。
でも、目には涙の跡がたくさんある。


きっと、抗がん剤の効き目があまり無いということを、陽翔先生から聞いたんだろうな…


わかっているからあえてそのことについては何も聞かないで、笑顔で挨拶を返す。


「結菜も蓮も早く行くよ」


「はい 」


結菜さんと陽翔先生が並んで歩いているからその後ろに着いていく。


薄暗い、病院の廊下を少し歩くとエレベーターがあり、それに乗って1階まで下りて外に出た。




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