君がいたから

最後の闘い



「結愛、ビニールの中に入ってね
今まで治療よりも、
大変だと思うけど、絶対そばで支えるから」


「…うん、でも、1回だけギューして?」


骨髄移植をやる…そう決めたけど、

病気に蝕まれた自分の骨髄を殺すための前処理をやるみたい…

すごい強い薬使うから
免疫力がほとんどなくなるみたいでしばらくの間、
無菌室にいることになる。



「………おいで 」


「…グスン………蓮… 」


この温もりを長い間感じることが
できなくてなると思うと寂しくて、寂しくて

涙をこらえようとしてもあふれ出してくる



「俺も寂しいから、結愛にあまり触れられなくても、
なるべくこの部屋にいるよ

だから、大丈夫。 怖くない。怖くない 」



「………ありがとう 」


ゆっくり蓮から離れて、手の甲で涙を拭いて
ビニールのベッドに入る。


「じゃあ、針刺すから チクッとするよ」


腕に痛みを感じ少しだけ涙が出てしまう。


「痛いのは終わりだよ

起きているのも怖いから少し寝な 」


「…うん 」

軽く目を閉じると
眠りの世界に吸い込まれていった。






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