黙って俺を好きになれ
4-1
色々ありすぎたお正月休みも終わり、所長の年頭の挨拶で始まった会社での日常。

筒井君は仕事中は公私混同することなく、態度も接し方も今までと変わらない。愛されキャラで人気者なのも変わらない。彼に告白されたことが他の女子社員に漏れたら、極太な針のむしろだろう。考えただけで胃に穴が空く。

エナの話だと事業部内でも仲の良いグループがあって、男女混合の飲み会がたまにあるそう。あからさまに筒井君を狙っている先輩女子がいるから気を付けたほうがいいと、アドバイスをもらった。・・・こういうのを『とばっちり』って言うんじゃないだろうか。

時間外の筒井君は全く遠慮がなくなり毎晩のように電話をかけてくる。一日一回、声を聴かないと眠れないとダダをこねられて、結局許してしまうというか。

ラインも通勤途中にか、ツイッターのような呟きがしょっちゅう届いた。『電車混んでる』とか『今日は会議』とか。返信は意味がある内容にだけ。きりがないから。






小暮先輩からの連絡もあれきり。スマホに番号は登録したけど、SNSは使っていないらしかった。文字の羅列より声を聴くほうがいい。なんとなく思った。

次に会うその時は、答えを出さなくちゃいけないんだろうか。電話が来るのが少し恐い。でも。着信があるたび『筒井くん』の表示に少しだけ気持ちが萎む。

考えないようにしてるのに待ってしまう自分が。・・・いる。



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