必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
5章 憧れの結婚式
「ほらほら、ジーク様もここはぜひ!」

  リーズはためらうジークにはお構いなしで、彼を部屋に押し込もうとする。

「いや、俺は。女の服装のことなど、なにもわからないし」

  ジークは部屋の前で、二の足を踏んでいる。

「わからないで済ませちゃダメよ!夫たるもの、似合うよとか綺麗だよとか、なにか声をかけなくちゃ」
「夫たるもの……そういうものか?」

  ジークの眉がぴくりと動いたのを、リーズは見逃さない。ここぞとばかりにたたみかける。

「そういうものです! いわば、夫の義務ね」

  ジークが責任とか義務といった言葉に弱いのは、もちろん承知の上だ。

「そうか。では……」

 ジークは覚悟を決めたようで、部屋に一歩、足を踏み入れた。

 この勝負、リーズの勝ちだ。彼女はジークの背中に向かって、ペロリと舌を出して見せた。

 
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