新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

『戸惑い独占欲 丈二ＳＩＤＥ』

『私……そんなジョージさんが大好きです』

『初恋は実らないものだって言うけど、信じてもいいですか？　初恋だって実ることはあるんだって』

　あれはすべて、自分の願望が招いた夢だったのだろうか。だけど、夢にしてはリアルに残っている。

　掴んだ彼女の手から伝わる熱。頬に触れたぬくもり。それらすべても夢だったとは思えない。
　もし現実だったなら、どれほど嬉しいか。俺にとって川端は、特別で大切な存在だから。

　夢か現実か。それを早く川端に確認したいのに、ことごとく失敗に終わる。

　朝は起きてくるのを待っていたというのに、なぜかなにも言わずに川端は家を出てしまい、昼休みに声をかけるも、井手に連れ去られた。
　しかも手を繋いで出ていくという、オプション付きで。

　あのふたりは同期としていい関係を築けていると思っていたが、それ以上の関係になっていたということか？

　だとしたらやはり昨夜のことは、夢だったのかもしれない。

　やっと心から惹かれる女性に巡り合えたというのに……。

　ふと、夢の中の川端が言っていた言葉が頭をよぎる。

「初恋は実らないもの……か」