新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
『もどかしくて、じれったい』
「えっと……すみません、ちょっと整理させてください」

 頭を抱え込みながら、先ほど大家さんと金子さんに聞いた話を思い返す。

 ふたりがキスしているところに、タイミングよく帰ってきてしまった私。
 すぐさま事情を聞くも、いまだに状況が飲み込めずにいる。

 さっき聞いた話はこうだ。

 ジョージさんと金子さんの父親は旧知の仲で、仕事上も業務提携を結ぶなど関係は深い。
 さらに結びつけを深めるため、お互いの子供を結婚させることにした。

 ジョージさんが一人前になるまで婚約という形をとり、社交の場でも公認の仲。
 ふたりとも幼い頃からの顔見知りで仲が良い。しかし兄妹のような感覚で恋愛感情はなかったが、結婚しても構わないと思っていた。

 幼い頃より結婚は自由にさせてもらえないと理解していたから、むしろ気心が知れている相手と結婚できるだけまだ幸せだと感じていたとか。

 しかし金子さんに愛する人ができてしまった。相手は昔から何度か顔を合わせていた大家さんだ。
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