時の止まった世界で君は

星翔side

染谷先生に連絡をもらい、様子を見に行ってから数時間経った。

約1時間おきに仕事の合間を縫い様子を見に行く限り、まだなつは眠っていて、朝からの疲れもあってよく眠っているんだな、と少し安心した。

もうすぐ、日勤は終了の時間。

今日は当直が入ってるから、このまま病院で待機だけど、何も無ければいいな。

当直の忙しさは、本当に日によって変わる。

ある日は、ほぼ急患も急変もなくて交代で仮眠を取りながらわりとゆっくり時間を過ごせる。

でも、また別のある日は、事故やら怪我やら急変やらで眠りにつく暇なんてないまま朝を迎えることもある。

暇に越したことはないから、出来ればそれがいいんだけど…

とか思ってると、忙しくなったりするんだよな。

なんて、くだらないことを考えていると、白衣のポケットに入れてあるPHSが震えた。

「はい、小児科瀬川。」

「すいません、なつみちゃんのことで相談が…」

「…はい、どうされました?」

曰く、眠りから覚めたなつは突然泣き出し、点滴を外したいと言って聞かないという。

看護師さんが説得をするも、なつは泣いて"外したい"と訴えるばかりで、どうしようか手を焼いている状態のようだ。

「わかりました。すぐ向かいますね。とりあえず、過呼吸を起こさないようにだけ見守っていてもらってもいいですか?」

「はい、わかりました。」

PHSを切るか切らないかで、椅子から立ち上がってなつの病室へ向かった。
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