Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜
5.初夏、君を辿り、泣いて
熱い。体の芯から燃えているようなそんな感覚だ。
意識が朦朧としていくのがわかる。歪んでいく視界で捉えた観客の影が私を過去の記憶から現在へと引き戻す。
私、歌いきったんだ。
ステージを照らすライトも観客からの熱気も、私の体力を吸い取っていく。
倒れるな。
せっかく歌い上げたんだ。エセやオーナーさんが用意してくれたこのステージをここで、台無しにするわけにはいかない。
「ありがとうございました。」
私は頭を下げる。エセも私に続いて頭を下げるとステージは暗転し、私は残りの体力を振り絞って裏に下がった。
裏に下がると私の足は完全に力が入らなくなり立っていることが困難になった。その場に座り込むと心配そうに私にエセが駆け寄る。
「かほ、大丈夫か?すげえ汗。水飲めるか?」
反応する余裕すらなかった。
しんどい。
「かほ、少しでいいから飲んで。」
ちらっと見えたエセの目がまたそうちゃんと重なった。今、目の前にいるのがそうちゃんだったら、そうしたら……。
「ごめん…なさい…。」
「え?」
「ごめんなさい……ごめんなさい……。」