斎さんの結婚式から遡ること1ヶ月前。

その日は暑気払いの宴会がビアガーデンであった。


俺は、大学時代の失敗から、成人してもアルコールを避けていた。

しかし、社会人になればそうもいかない。

心配した兄が、何度か練習と称して飲みに連れて行ってくれた。
結果、わかったことは、ジョッキ1杯が限度という事。
もっと詳しく言えば、半分呑んだくらいから饒舌になり、1杯呑み終わる頃には眠くて仕方がない状態に陥っていた。
酒豪の兄に比べて弱過ぎる。
俺は母親に似たのだろう。

そう言うわけで、社会人になってからも、下戸で通してきた。

会社の宴会でも、アルコールは口にしないように気をつけていたんだ。

宴会が終わった後、珍しく斎さんがもう一軒行こうと誘って来た。

飲み足りなかったらしい。

確かに、飲み放題だが、ビアホールの場合、自分で注ぎに行かなくてはならない。
次から次へと社員に挨拶に来られると、飲めないのもわかる。

しまったな。
俺が気を遣って注ぎに行くべきだった。
秘書として失格だ。

反省の意味もあって、斎さんの行きつけのバーへお伴することになった。