一生ものの恋をあなたと
奮闘の日々 〜蓮〜
落ち着け、俺。

いや、無理だろう。
毎日眺めているだけの愛に会ったんだ。

しかも、偶然とは言え、抱きしめてしまった!

真っ赤な振袖姿の愛は、艶やかで美しい。
いい匂いがした。
香水なんて、つけるようになったんだ…。

大人になった愛は眩しすぎる。


披露宴の後は二次会。

そして、愛はこのホテルに宿泊する。
俺が宿泊の手配をしたんだ。
間違いない。

今日は斎さんと美央さんの記念日。

でも、俺と愛の再会記念日にもなるんだ。

この日のために、社会人になってからの奮闘があるんだ。




◇◇




大学4年。

本来なら就活真っ最中のその時期、俺は久しぶりに地元に帰っていた。

あれから、東京に戻った俺は、東京を離れることはなかった。
大型の休みも、帰らない息子を心配して、両親達が東京に出てきた。

でも、今日は別だ。
今から、こっちで面接だ。

そう。
俺はいずれ朝倉コーヒーに入るために、
朝倉コーヒーと関連のある会社へ、修行の為に入ることになっていた。

就活して、自分の力を試してみたい気持ちは少しあった。
でも、いずれは、ずっと走り続けている兄を支えたいと思っている。
それなら、無駄なことはやめよう。
少しでも早く、兄の片腕になれるように、最短の道を行くべきだ。
そう考えて、兄の勧めるこの会社を受けた。
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