一生ものの恋をあなたと
入社がほぼ決まっているとは言え、緊張する。

案内された小会議室に現れたのは、人事部長の中森さんと言う、40代前半の男性。

「朝倉蓮です。
本日は、お時間を取っていただいてありがとうございます。」

「(株)HASEGAWA 人事部長の中森です。
どうぞ、座って。
君のことは、お兄さんからよく聞いてるんだ。
フッ…初めて会った気がしないくらいだよ。」

そう言って、にこやかに話しかけてくれた。

正直、口下手な俺だ。
こう言うのは最も苦手とするところ。
しかし、社会人になると、口下手だから喋らない、と言うわけにもいかない。

しかし、あろうことか、中森さんはこう言った。

「フッ…お兄さんからね
『うちの弟は口下手な甘ちゃんだから、社会人仕様に鍛えてやってくれ』
って言われてるんだ。
あー、楽しみだなー。
HASEGAWA総力で、鍛えさせてもらうからね〜。」

な!あ、兄貴め〜!

「……口下手は、本当のことなんで。
宜しくお願いします。」

「うんうん。
宜しくね、あ、もうすぐ来ると思うんだけど…」

ガチャ

「ごめんなさい!遅くなって。」

30代前半?いや、もっと若いか?
女性の年齢はよくわからないが、やたらと色素の薄いフワフワしたイメージの女性が入ってきた。

俺は立ち上がって、さっき中森さんにした挨拶を繰り返した。

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