【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
抗えない心と身体~side隼~

 彼女を初めて見かけたのは、僕がまだ専務の職に就いてまだ間もない頃、確か三年ほど前だっただろうか。

 元々、上流階級の間でしか出回っていなかった一般庶民には馴染みのなかった様々な高級食材を一般にも広めようと、初代の当主が明治初期に創業した『YAMATO』。

 『YAMATO』《うち》は、その頃より、上流階級の重鎮との太いパイプを持っており、持ちつ持たれつ深く関わり合っていたため、礼儀や格式を何よりも重んじてきた。それは今も変わらない。

 まぁ、前会長である祖母の雅さんが退き、母が会長となった今では、表面上は、少しそれも緩んではきたようにも見受けられるが、代々引き継がれてきたそういうものを何よりも大事にしてきた雅さんの目が黒いうちは、それが変わることはないだろう。

 創業当初とは違って、今では、チョコレートは勿論のこと高級食材だけにとどまらず、富裕層をターゲットにした宝飾品といった高価な商品を数多く扱っていることもあり、政財界や角界のセレブといった顧客を相手にすることも多々あるため、社員教育には特に力を注いできた。
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