【タテスクコミック原作】鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
これは業務命令ではありません!?

 なんだろう? この、なにかあたたかなものに優しく包み込んでもらっているような、安心感と、このなんともいえない心地良い感触は。

 閉ざしたまんまの瞼の向う側。まるで、柔らかな陽だまりでも広がっているかのような、優しい灯りがほわりと浮かび上がって。

 もう、朝なんだ。そう思うのに……。

 瞼は重くて上がってもくれないし。身体もなにやら異様に気怠くって、起き上がろうにも起き上がれそうにない。
 
 というより、ここから一歩も動きたくない。ずっとずーっとこのままで微睡んでいたい、なんてことを思ってしまっている。

 それにしたって、うちのベッドって、こんなに寝心地良かったっけ? それに、長年使っている年季物の布団(一応羽毛布団だけど)って、こんなに肌触り良かったっけ?

 寝惚けつつも、手でベッドと布団の感触を確かめながら、いくら休みの日だからって、いつまでもこのまま眠っても居られないし。そろそろ起きなきゃなぁ。でも、まだまだ起きたくないなぁ。
 
 てな具合で、しばらくの葛藤の末、スマートフォンの定位置である枕元へと右手を彷徨わせていた時だった。

 自分一人しか居ないと思っていたのに、後ろから突如、寝起きで掠れた、やけに色っぽい鬼畜の声が聞こえてきたのは。

「もう起きるんですか? まだ六時過ぎなんですから、もう少しこのままで居ませんか? 昨日は、ずいぶんと無理をさせてしまいましたし。ねぇ?」
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