【完】スキャンダル・ヒロイン
Act2  個性的な住人達。

Act2  個性的な住人達。




コンクリートジャングルとは正にこの事よ…。
都内とは何故どこに行っても人がゴミのように溢れかえっているのだろう。

決して面積の広いとは言えない東京。緑も少なくって空気も悪い。けれど日本の中心に人は集まり…私が今から向かう場所にも夢を追いかけて東京にやって来た住人たちが暮らしている。

大学は東京だったがどちらかと言えば千葉寄りの田舎で、実家からも通いやすかった。しかしここは違う。朝から満員電車を何本も乗り継ぎやっと最寄りの駅についた頃には汗だくになっていた。

「はぁーあっつい…」

キャリーケースをガラガラと引きながら人波からは何とか逃れる事が出来た。
ポケットに入れておいた携帯が鳴り響いて、太陽が燦燦と輝く炎天下の中その着信を受け取る。

「もしもしー」

「静綺?!ちょっと昨日寝てた!今ライン見てびっくりしたばっかなんだけど!」

電話はりっちゃんからだった。昨日の夜に帰って来て、眠る前に事の経緯をさらりとラインで説明した。

りっちゃんは珍しく電話で黄色い叫び声を上げた。

「寮って芸能界の寮なんでしょう?!
姫岡真央って!!超羨ましい!!」

「りっちゃんも姫岡さんの事知ってるんだ」

「そりゃ当たり前だよ!てか知らない静綺の方がおかしいんだから!
私は姫岡真央の連続ドラマも欠かさず見ていたし、テレビに出ても物腰が柔らかくって王子様みたいな人で…
最近はあんまりドラマで見かけないけど、大滝昴と並んで人気の俳優さんじゃん。
キャー!羨ましい!サイン貰って来てよッ」
< 37 / 347 >

この作品をシェア

pagetop