溺愛しすぎじゃないですか?~御曹司の初恋~

2.初デート

「ホントに先輩と付き合ってるんだよなー。まだ実感ないけど。」


スマホに届いたラインを見ながら一人自室のベッドの上で呟いた。


【バイトお疲れさま。もう家帰ってる?】

【はい。三十分ほど前に帰ってきました。大輝は?】

【俺も今ホテルに戻ったところ。飲みに連れて行かれて疲れたから李子に会ってパワーチャージしたい。】

【明日、帰って来るんですよね?】

【そう。だから週末はちゃんと予定空けとくように。】

【はーい。】


付き合いだす事になって約三週間、仕事から帰ると先輩は必ずメッセージをくれる。
ホントにマメな人だ。

先輩の働く会社はSANグループと言う国内で三本の指に入るホテルやリゾート関係の会社だ。
私の目指す業界とは全く違うので詳しくはわからない。
最初の二年はホテル業務だったらしいが今は国内営業部関係に所属しているらしい。

そしてあの日の数日後から急遽出張が入り、今は沖縄にいる。
だからデートはまだした事がない。





「時間通りですね。」


昨日、長い出張から帰ってきた先輩がデートをするために車で我が家まで迎えに来てくれた。


「今日はどこか行きたいところある?」


うーん、行きたいところかー。これと言って思いつかない。


「無いなら俺の行きたいところでいいか?」


『はい。』と答えると直ぐに車を発進させた先輩。
何処に行くのか尋ねるとここから約1時間かかる郊外に出来た大型商業施設だった。
中にはショッピングモールはもちろんレストランに映画館、そして水族館なんかもある。
車以外の交通手段だと電車に乗ってバスに乗り換えてとけっこう大変な立地だったので、オープンして約半年経つがまだ一度も言ったことが無かった。


「前から行ってみたいと思ってたんで嬉し!楽しみー。」


そう答えると嬉しそうに私の頭を撫で『よかった』という先輩。
あの日、一瞬でもストーカー?と疑った事を心の中で謝った。

毎日来るメッセージにしても今を見ても私の事を本当に好きだって思ってくれてるのが溢れ出てる。前の彼氏も私の事を好きでいてくれたけどここまで溢れだす事は無かったな。

実際彼が就職し遠距離になると分かったら『遠距離は自信無い。別れよう。』ってあっさりサヨナラだったしな。まあ私の方も『わかった』って感じで引きずる事も無かったから彼の事は好きだったけどそこまでだったって事だよね。

なんて考えてたら横から『李子、何考えてるの?』ってジトっとした目で見られた。


「えっ?別に大したことじゃ・・・。」


まさか元カレと今カレを比較してましたとは言えない。
サラッと流してみたかったが私を既に溺愛しているご様子の先輩は逃してはくれなかった。


「いや、先輩から私に対しての、あ、あ、」

「あ?」

「・・・愛情が溢れ出てるなーと思って・・・。」


それを聞いた先輩は瞬間に超がつくほどご機嫌モードに変わった。
元カレの部分は言わなくてよかったー。


「李子に俺の愛情が伝わって嬉しいよ。」


私の右手を取り自分の方へ引き寄せると指先にキスを落とし『本当はここにしたいけど今運転中だから後でね。』と手を放し私の唇に触れた。

今までこんな甘い人なんて知らない、初めて経験する激アマ状態に真っ赤な顔をしたままただ俯き目的地に着くのを待つしかなかった。


この人と付き合って、私の心臓が持つのか心配になってきた・・・。
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