俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

強引お坊っちゃまの強引な名案

★★★










気付けば、このラウンジ内も人の数が増えていた。

潜入した当初は指で数えるぐらいしかいなかった生徒も、今となってはソファーの空席が目立たないほどいる。

相変わらずお盛んにイチャイチャしているのもいれば、体を寄せて談笑しているカップルもいて。

今思えば、恐ろしい場所だな。

かつて、こんな場所に普通に身を置いていた自分が恐ろしい。



「…人、増えてきたな」

「うん…」



そう俺に話し掛けて、辺りをじっと観察しているなずなだが、俺は少々歯切れの悪い返答をしてしまった。

それは…先ほどのことを思い返してしまったからだった。



小うるさいお座敷犬に肩を咬まれたとか、突入命令出ましたとかで、バタバタしていたけど。



そういや、俺。

キスしたんだ…こいつに。



あの時はなぜか強気なお坊っちゃまになっていたので、何とも考えていなかったけど。

冷静になった今、思い返したらかなり恥ずかしくなってしまった。

それに…ミッション中ですよ。

映像、音声だだ漏れにも関わらず、なんてことをしたんだ。

綾小路室長、見てたよな?何のコメントもなかったけど。

確信犯だったので、眼鏡は避けましたけど。


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