ハナヒノユメ
変化
それから、時折彼は言葉を発するようになった。

それは、

「うれしいな。」

とか、

「ありがとう。」

と繰り返し...。

まだ、きっと完全に意識が戻っているわけじゃないんだろうけど、確実に誰かいるって分かってるから、話しかけてるのかもしれない。

それで、ある日。

私が買ってきた花を取り替えていると、以前とはまた違い、彼がすぐに反応してくれた。

「...いいにおい。」

「お花、新しいのに取り替えたんです。」

「新しい花...。
やっぱり...。」

「お花、お好きですか...?」

その呼びかけには、返答しなかったけど、

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