一躍英雄になったアイスマンだったが、彼の幸せはそう長くは続かなかった。
「わずか3日で氷が全部溶けちまったじゃねえか、この詐欺師が!」
「そうだ! そうだ!」
「もう一度、地面を凍らせろお!」
「そうだ! そうだ!」
「さもないと、おまえを熱湯でぶっ殺すぞォ!」
アイスマンは怒り狂った市民たちに取り囲まれた。
彼らは殺気立っている。
バケツに熱湯、手には拳銃、包丁、鉈、ハンマー、手榴弾を持った者さえいた。
「すまない……わたしの能力では、たった一度しか――」
「もうやめてェ!」結愛が叫んだ。「お願い!」
「邪魔だ、どけ」結愛が若い男に小突かれた、つぎの瞬間だった。
身を呈した少女に熱湯がかかった。
全身大火傷。
即死だった。
アイスマンは怒り狂ったような叫び声をあげると、
瞬間移動してこの場から去った。
2100年9月11日、全世界は殺人寒波に包まれたのは、言うまでもない……
The End