年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!

sideシャルロッテ

 私の両親が、亡くなったのは領内の視察に出ていた時だった。

 国境そばまで行き、お屋敷であるアルグバーン邸へと向かっている最中に馬車が崖で滑落し、御者と共に亡くなってしまった。
 事故として処理されたようだけれど、あの日視察に出る前の馬車に近づいていた叔父を見ていた私には半信半疑だった。

 だが両親亡き後辺境伯の位を叔父が継ぐことが決まるや否や、叔父は私を領内で栄えた商家の後妻に出すと言い出した。
 両親が元気で、この辺境伯を継げるような人物を探すからと婚約者選定に慎重だったことが仇を成し、婚約者のいない前辺境伯の娘である私は厄介払いをされることは理解できた。
 しかも、相手が叔父が散々散財しては借金を重ねていた相手である。

 売られるのだと思った。
 それが嫌であれば、もう教会へと行き修道女になるかと思っていたとき。
 葬儀に参列してくれた父の年の離れた友人である、前シャロン公爵が叔父とのやり取りを聞きつけてこう言ったのだ。

 「君が爵位を継いだのならば、もうここにシャルロッテ嬢の居場所はないと言うんだね? ならば彼女は私が連れて帰り、息子と会ってもらいましょう。 もともと我が家と縁続きになる予定だったのですよ」

 前公爵フィリップ様は話しながらも手紙を差し出す。
 その手紙は確かに父の文字で、そこにはもしもの時は私のことをお願いすること、互いが気に入れば、フィリップ様のご子息と娶わせてほしい事が記されていた。

 それは、私が本来社交デビューするはずだった二年前の日付でしっかりと辺境伯印の押された正式書類。

 領地経営は安定していたし、父の商会も安定していたのに王都での社交デビューできなかったのは叔父の散財の穴埋めをして、王都に行くゆとりがなかったせいである。
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