年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!

 それを、この歳でデビューもしていない令嬢だからと叔父に都合のいいように扱おうとする姿勢も好かないし、本当は爵位を自分で継げないことが悔しかった。

 父はいずれ夫とこの地を守ってほしいと、私にも領地運営や商会の仕事を教えてくれていた……。
 せめて弟が居れば、弟が継げるまで代理も出来たというのに……。
 父と母は私以降、子に恵まれなかった。
 たった一人、この辺境伯家の娘として大切に育ててくれた父と母は、もしものこともしっかり考えてくれていた。

その証がこの手紙だと確信した。
 きっと、叔父の動向にもうすうす気づいていたのかもしれない……。

 こうして私は前シャロン公爵夫妻と共に、久しぶりに王都へと旅立つことになった。
 十七年育った故郷である辺境の地に別れを告げて……。

 辺境から出なかったとはいえ、貴族の娘で年頃であることや商会の仕事も手伝っていたので貴族の噂はそこそこ知っていた。

 だから、現シャロン公爵が社交界で有名な独身の貴公子であり、女性との噂が絶えないことは知っていた。

 会ってみて驚くのは驚異的なまでのその美貌だろう。
 知性を感じるのに、その相貌は美しく整っている。体も均整の取れたもので、美丈夫とはこういうのかといった体現具合に驚いたものだ。

 もちろん貴族令嬢として、その気持ちは表情には出さなかったけれども。

 こんな人が着飾って夜会や舞踏会に出れば人気なのも頷けるし、火遊びでもいいという女性が後を絶たないというのも理解できた。

 さて、そんな見目麗しい公爵を前にすれば私なんて貧相なものである。
 年頃で、そこそこメリハリはあるものの豊満でもない体に、自慢できるのは母譲りのエメラルド色の瞳くらいだろうか?
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