あたしを撫でる、君の手が好き。
そわそわ、騒ぐ。

授業終了後のホームルーム中。あたしは黒板の前に立って、手元のプリントの内容を読み上げていくあっくんの顔をじっと見ていた。

今日もかっこいいなー。

あっくんの顔を見つめながら、心地よく流れ込んでくる低い声に耳を澄ませていると、プリントを読み終えたあっくんがぱっと顔を上げた。

まばたきをするのも忘れるくらいにガン見していたあたしと、あっくんの目が合う。

見過ぎていたことがバレたかも。

慌てて視線を落とすと、あっくんと一緒に黒板の前に立っている桃佳の声が聞こえてきた。


「それでは、今日は体育祭準備に向けての係を決めたいと思います」

桃佳の一言で、教室が少しざわつき出す。

そのどさくさに紛れて顔をあげると、あっくんはもうあたしのほうを見てはいなくて。一番前の席に座っているクラスメートの男子と何か話しながら笑っていた。


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