キミの世界で一番嫌いな人。

体育祭





赤い鉢巻は勝利の色。


「そんな張り切ってるのはお前だけだぞ小鳥遊」なんて言われたって気にしない。


きゅっと結んで、ジャージのチャックは首元まで上げる。

動きやすい短パンに、靴の紐はしっかりと蝶々結びをして、腕には赤いリストバンド。



「いや…お前だけ熱量おかしくない?」



グラウンドにはすでに生徒が散らばっていた。


最初は騎馬戦。
私の脚となってくれる、3人の男。

その1人である廣瀬 秋斗は、やる気しか無い私を見ていち早くツッコミ。



「よし!行こう秋斗くん!!ぜったい勝つぞ!!」



1位を獲ろう。
ぜったい意地でも最後まで残ってやる。

だって───…



「せんぱーーい!!!俺、必ず1位獲ります!!!」



屋上を見上げて、目一杯ぶんぶんと手を振った。

きっと、そこにいるから。
キミの分まで走る。


それが私にできる、最大限の謝罪だ。



「よしっ!やるぞぉ!!」



しゃがむ男たちの土台に股がると、ぐらっと揺れながらも視界は高くなった。


ピーーーーッ!!!


笛の開始音を聞くよりも前に、グラウンドに走り寄った男たち。



「うおおらあああああ!!!」



案の定、一瞬にして乱闘であり戦場となった。



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