AIが決めた恋
第2章 お兄ちゃんと私

お兄ちゃん

パートナーが発表されてから3日が経過したある日の休日の朝、私はショッピングモールの近くの時計台の前で、彼を待っていた。
勿論、“彼”とは真島くんではない。真島くんと次に会うのは、約1ヶ月後だ。
今日、私が会うのは──

「藍〜〜〜!!!!!」

前方からこちらへ走ってくる人の姿が見えた。この人こそが、今日、私と一緒に買い物をする、“彼”だ。

「お兄ちゃん。」
「お待たせ!遅くなってごめんね。どれくらい待った?足痛くない?大丈夫?あ!歩けなくなったら、僕がおんぶするから、いつでも言ってね!」
「お兄ちゃん、私もう高校生だよ?いつまでも小さな子どもじゃないから、そんなに心配しなくても大丈夫。」
「うぅ…、藍が高校生…。尊い…。」
「尊いって…。」

彼は、従兄(いとこ)湖川裕(こがわゆう)
従兄だけど、昔から兄妹のように仲が良いから、私は彼のことを『お兄ちゃん』と呼んでいる。お兄ちゃんは、私より3つ歳上の大学1年生で、今日は、お兄ちゃんの大学の近くにあるショッピングモールへ来ている。

「それにしても、藍と一緒に出かけるの、何年ぶり??」
「多分、3年と少しぶりかな。」
「さ、3年…!?」

昔から仲が良いのに、3年間1度も一緒に出かけたことがなかったのは、去年までお兄ちゃんが、『高瀬AI研究所附属高等学校』に通っていたからだ。私の家とお兄ちゃんの家は割と近くにあり、それぞれの家から学校までは、電車を使えば1時間程度で辿り着く。私は家から学校へまで、電車で登校しているが、お兄ちゃんは早起きが苦手だという理由で、寮生活をしていた。そしてお兄ちゃんは、高校に通っている間、1度も家に帰って来なかった為、私達は3年ほど顔を合わせていなかったのだ。
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