「……透さん。もしかして、美砂に全部話すつもりですか」

彼の腕にすがり、問いただした。私を一番にしてくれるなんてうれしくてたまらないけど、まだ美砂を傷つける覚悟はできていない。

「話さないでほしい?」

「……はい」

「分かった」

今度は拍子抜けし、透さんを覗き込んだ。美砂に秘密のまま、どうやって解決するの?

「デッドラインは一ヶ月後のパーティー。美砂にはなにも話さず、池畠を婚約者の座から引きずり降ろせばいいんだね」

それは、そうだけど……。

「了解。まかせて」

ええ!?

「透さんっ、あの、どうやって」

「沙穂ちゃん。俺はこう見えても問題解決のプロなんだ。なにも心配しなくて大丈夫だよ」

でも! 私には解決の糸口がまったく見えないのに。

これで話は終わったとばかりに透さんは私の手をとり、寝室へ戻ろうとする。とりあえずそれに従ったが、私にはまだ理解が追いついていない。
連れていかれるままベッドに座ると、透さんは唇にキスをし、考え込む私を中断させた。

「沙穂ちゃんの悩みは全部俺が請け負ったから。もう考えるのはやめよう」

慰められるようなキスをされ、彼の言う通りなにも考えられなくなる。背負っていたすべての荷物から解放されたみたいに心が軽くなった。

「透さん……」

「大丈夫。信じて」

どうしてこんなに私を助けてくれるの。ひとりで悩んできたのが嘘みたいに、不安が安堵に変わっていく。
透さん。透さん。
もう透さんがいなきゃ、ダメだ。

私は涙を流しながら、激しくなるキスを受け入れた。