酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「あの、もしもし...。」

「まつり?
電話かけてくれたんだね。」

「すみません、夜遅くに。」

「いいんだよ。そんなに遅くないし。
それよりこうして話せることが嬉しい。」

「あ、ありがとうございます...。」

「何か困ったこととかはあった?」

「いいえ、ないです。」

「それは良かった。
ちょうど甘えて電話しようかなって思ってたところだから。
そうだな、何をお話ししようか。」

「えっと...。好きなものの話とか...?」

「食べもの?」

「なんでも...。」

「好きといって今真っ先に思いつくのはまつりの笑顔だよ。
どんなに美味しいもの食べるよりも幸せな気分になれる。」

「私も...。」

「笑うの好き?」

「え、いえ...私はよく分からないですけど、佐伯さんの笑顔を見ると、すごく元気出ます。」

「そう?じゃ、幸せ半分こしてるのかな。」

「はい...。」

「誰かに、元気を与えられるなら、こんなに心強いことはないと思うな。
だから、まつりは凄いよ。周りをパッと明るくしてくれるからね。」

「それは、私じゃなくて佐伯さんがそうなんだと思います。」

「いや、俺はまだまだだよ。
みんなが喜んでくれるようにとか意識してしてはいるけど、全くだめで。」

「だめなんかじゃないですよ。
佐伯さんは、私にとって、ずっと前から憧れの人だったんです。」

「憧れか...。なんだか照れるな。」

「本当です。つらいこととかあったときも、佐伯さんの声をきいたら、励まされて勇気が出て。
それで、いい方向に向かえるかなって思うんです。」

「...ありがとう。」

「いえ、私こそ、本当にありがとうございます。」

「...俺とまつりは元気を分け合ってるのかもね。」

「そうかも...しれないです。」

そっか...。

佐伯さんも、私のこと...。

「明日も元気ちょうだい。」

「はい!」

「おやすみ。」

...。

電話、しちゃった...。

別にいけないことじゃないのに、

どうしてこんなにドキドキしちゃうんだろ。
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