没落姫の溺愛婚②~双子の旦那様に愛されすぎて私、困ってます~

大好きな旦那様



『今日から彩希(あき)は、私達双子の宮の寵姫だよ』


 その宣言を聞かされて、早くも三月(みつき)近く経った。

 初めはね、二人に(もてあそ)ばれてるのかな、ってちょっとだけ思ってた。

 でも、双子の宮様方に拾われて、もう随分経つ。

 彼らの人となりも知っているし、遊んで捨てるような人じゃないって、ちゃんとわかってる。

 寵姫だって突然宣言されて、本当に戸惑った。

 取り柄もない、二人の後ろ楯になれるだけの身分だって持ってない。

 ないもの尽くしの没落姫。

 でも同時に、選んでくれたことは、すごく嬉しかったのも本当の気持ち。

 父も母も流行り病で見罷(みまか)り、頼れるだけの親戚だってない。

 唯一の頼みの綱だった婚約者からも、あと一日で結婚という土壇場で冷たく捨てられて。

 居場所もなく、何かあったら帰れる家族だってなくて、独りぼっち。

 ただ独りで泣き崩れることしか出来なかった。

 そんな自分が、新しく与えてもらった大切な居場所は。

『双子の宮様の寵愛を一身に受ける、唯一の寵姫』

 だったの。
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