二人の距離~やさしい愛にふれて~
「えっ?ちょっ…なに?」

理花はいきなり抱きつかれ、またビクッと肩を揺らす。

「ククッ、あれだけ昨日は誘ってきてたのに。やっぱり薬でもしてるのか?効果が切れたとか?」

理花は頭を横に振ると俯いて動かなかった。
理花自身も普段と違う自分に戸惑っていたのだ。そもそもお酒が抜けた状態で男性と接することがなかった。

「なぁ、お前何食ってるの?細過ぎじゃね?」

「水とお酒とセーエキ……たまにパン」

「うぇぇ…お前死ぬぞ。マジか…ヤバ過ぎるだろ。マジで薬とかしてないよな?」

頭からシャワーを浴びながら理花は頷いた。
恭吾は理花を自分の方へ向け、俯いた顔を無理やり上に向かせた。
やはり化粧をしていない理花の顔はやせ細っているが目がくりっと丸く可愛いかった。

その目に吸い込まれるように顔を近づけ、唇を重ねていた。そんな自分の行動に驚きつつも、恭吾は夢中で自分の舌を理花の舌に絡ませていた。

「うっ、んん……」

理花はあまりキスに馴れていなくて、どうやって呼吸をして良いかわからず恭吾の背中を叩きながらもがいた。

「アハハハハハッ、下手くそ。ヤりたがるくせにキスは録にできないのなっ。」

「うるさい…」

笑われた理花は恥ずかしくなり恭吾の胸を拳で軽く叩きながら俯いた。
恭吾はそんな理花が可愛いくてぎゅーっと抱きしめた。
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