二人の距離~やさしい愛にふれて~
そんな冷たい返答が本心ではないとわかっている茉莉は笑顔で恭吾と由彰の顔を眺めていた。

「俺も恭吾の父さんに会ってみたかったよ。ほとんど記憶はないけどオヤジたちから聞いていろんなことは知ってるって不思議なんだよな。」

「そうよね。真さんと声がそっくりと思ってたけど、恭吾も本当にそっくりなのよ。たまに驚くほど同じような表情をするようになったし。」

そう言って茉莉は恭吾の父親である大吾のことを思い出し笑っていた。

丁度ご飯を食べ終わり、支度にとりかかっているときに真が帰ってきた。

「二人ともおはよう。」

「おはよ。」

「おはよ、まこちゃん昨日のビール最高だった。ありがとう。」

「ハハッ、全部飲んでたな。今度は昌と4人で飲もう。」

「母さんたち除け者にしたら怒りだすよ。」

笑いながら由彰が言うからつられて恭吾も真も笑っていた。

「いいのよ。私たち女性陣は温泉に行くことになったの。もちろん昌美ちゃんもね。」

理花のことは気がかりでずっと塞ぎ込んでいた恭吾は久しぶりに笑っていた。
問題が解決したわけではないがこれから理花にとって悪い方向に向かうことはないだろうと心のどこかでほっとしていた。

支度が済むと、真の車で由彰を大学まで送ったあと三人で警察署に向かった。
これからどんなことを聞かれるのかと思うと恭吾は少し緊張していた。
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