俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

奇跡ってヤツはいとも簡単に起きるらしい

★★★





…あの日。

道場での稽古が終わって、忠晴の迎えを待つため、ペンタグラムに足を運んだ、バレンタインデーの日。

お店に入ると、咲哉さんのお友達が何人か来店していて。

その中に、この竜堂もいた。


離れたカウンターの方に座っていたのに。

すでにワインでほろ酔いになっていたこの男が、わざわざこっちにやってきて、隣に座られ絡まれる。



『なあなあおまえ、なずのどこ好きになったの?顔ー?教えろってー』

『や、あの…』

『なずかわいーもんなー?なー?』



こいつ、なずなのことばかり聞いてくる…。

恋話吹っかけてくる。タチが悪い酔っ払いだ。

赤の他人に、ましてやちょっと悪印象持ってる相手に、何を話すか。もったいない。

この手のヤツ、どうせ冷やかしてくんだろ。

あーめんどくせー。



酔っ払いめんどくせーとか思っていたが、そこはやはり酔っ払い。

話題を変えるのも急だし、聞いてもいない話を急に吹っかける。

それが、先の発言だ。





『犬…いつ死んだんですか?』

『俺が高校一年の冬』

『は…』



ガクッときた。

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