俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

ウダウダやってる暇はない

★★★







「…兄貴っ!麗華さん連れて逃げて!」



雲一つ無い、漆黒の闇が棲んだ夜空なんだけど。

街灯やネオンの多いここ中心部では、残念ながらそれは霞んで見える。



しかし、同じ漆黒でも。

濁って淀んだ、不穏な漆黒の闇ともいえる渦巻いた煙のようなモヤが、陰が出来るほど、彼の頭上で大きくなっていて。

合図のように腕を振り下ろすと、彼の手から電光を伴って放たれる。



…が、しかし。



「怒ったの?随分短気だね」



言葉と攻撃で怒りを露わにした彼に対し、兄貴は改めて不服な表情を見せていた。



…と、いうか兄貴!

何ムッとして突っ立ってんだよ!

逃げろって、言ってんだろ?!

俺の叫び声もなずなの叫び声も、兄貴の耳には届いていない。



「…兄貴!」



思わず体が前に出て、駆け出そうとするが。

もう、漆黒の闇の渦、『無限の夢』は兄貴の目の前まで迫っていた。



「ら、頼智!何をしてるのですか!早くっ…」


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