俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

まだ、戦える

★★★







髪を靡かせて、駆け出して行く。

手を伸ばしても、届かない程に。



「…『白蓮華』!」



走りながら翳す手元に、あのパイに見える白い蓮の花が現れた。

敵に向かって、走り込んで同時に投げ付ける。

突然の奇襲に、女性の姿をした鬼は杖を振り回して、白い蓮の花をひとつ弾き飛ばす。

しかし、動きがひとつ遅かったのか、残りのひとつは回避しきれず、モロに直撃して体を少し後ろに逸らせていた。



「…なずな、大丈夫なのか?」



突然割って入ってきた負傷しているはずのなずなに、流石の川越さんも驚いた表情を見せる。



「…大丈夫。まだ、戦える」

「あまり無理しちゃいけないよ?…って、聞くタマじゃないか」

「わかってるね」

「後でボスに怒られても知らないよ?」

「…いい」



川越さんの「あははっ」という笑い声を背に、なずなは敵を真ん前に捉えて構える。

いつものように余計なことは言わず、いつになくマジな顔で、睨みを飛ばしていた。

ピアスは強く光り続けている。


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