俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

大切にしたい君に、捧げる…

★★★







『最期に…死ぬ前に、もう一度キスしてくれって、言ったんだよ!』






俺も、まさかこんな内容とは知らず。

なんて事を無理矢理聞き出してしまったんだ…!



落ち着いて物事を振り返ると、それはもうゆでダコになるほどの赤面モノで。

恥ずかしいのか照れなのかわからない。

『スケベな女』と『肉は置いていけ!』はツボに入ったが。




でも、死ぬかもしれないその時に。

俺とどうこう…スケベなことだろうが、思い浮かべてくれるのは。

…普通に嬉しかった。

死ぬ間際に、俺…だぞ?



(………)



それは、高鳴る胸を熱くさせる。

覚悟を決めて、前に踏み出すには十分。




一歩、前に踏み出すことにした。




「…おい、なずな」



布団の塊に向かって呼び掛ける。



「………」



当たり前に、返事なし?

シカトだし、布団の塊はピクリとも動かない。まるで岩だ。ベッドに岩。

…あれだけのスケベ発言をぶっちゃけてしまったんだ。

そりゃ、岩にもなりたくなるか。


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