最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~
『早く気持ちを吐き出しちゃったほうが、高海くんもラクになれるんじゃないかなって思ってたんだよね。ようやく行動したかぁ』と満足げにしていたものだから、私は呆然とした。

私ってもしかして鈍感? ていうか、妊婦なのに告白されるこっちの身にもなって……と。

だいぶ大きくなってきたお腹を抱えて椅子に座り、カップを口に運んでリラックスする香りを楽しむ。

麻那もカフェラテをひと口飲み、一応私たちを心配して声をかけてくれる。


「その密室壁ドン告白から、もう一カ月経つでしょ? 吹っ切って普通に接したほうが、高海くんも救われると思うよ」
「それはわかってるんだけどさ……」


もちろん私も、前みたいに仲よくやりたい。でも、そうなるにはまだ時間がかかりそうだ。日にち薬でなんとかなるのかという感じもするけれど。

浮かない顔でハーブティーをすすっていると、麻那は頬杖をついて視線を宙にさ迷わせる。


「男女の友情って、やっぱり危ういんだね。文化財みたいなもので」
「文化財?」
「貴重だけど、崩れると修復に時間がかかるじゃない。まあ、だからこそ面白いんだよね~」
「面白がるな」


のほほんと笑う親友に、私は目を据わらせてツッコんだ。それに、なんだその微妙な例えは。
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