独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
やっとの思いで相思相愛です!

 その夜と、次の夜。小田切先生は当直でもないのに、連続で家に帰ってこなかった。どうやら病院に寝泊まりしているらしい。

 彼の体が心配ではあるが、私への当てつけで帰ってこないのだとしたら腹が立つし、病院にいる間もあからさまに私を避けていて、仕事以外の会話をする隙がそもそもなかった。

「なーんか不穏だねえ、きみたち。ケンカでもしたの?」

 院内で小田切先生とすれ違った際、お互いわざとらしく顔を背けていたら、隣にいた蓮見先生が、完全におもしろがった口調で言った。

 一時は過労で倒れた彼も、今日から職場に復帰している。聞けば、蓮見先生は過度の疲労から眠気を感じない症状に陥っていて、それに気づかず昼間は精力的に働き、夜は夜で精力的に遊び歩いていたら、体が限界を超えてしまったのだそうだ。

 しかし、二日間の入院で休養し、今後眠れないときのための睡眠導入剤を処方してもらっただけで、すっかり元気になったらしい。脳外科医というのは、やはりタフである。

「……いえ。ケンカなんて別に」
「ホント? 愛花先生も小田切も、似た者同士で強情だからなぁ。ケンカしたら長引くね、絶対」

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