背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
胡散臭い……  美月
うわー 
 完璧な愛想笑……

 興味なんてないくせに、いかにもといった感じで頷く笑顔が胡散臭い……
 最悪…… 

 しかし、この着付け苦しいなぁ
 せっかくの料理が、半分も手をつけられない……
 早く着物を脱ぎたい……


 目の前に座る彼が、何か言ったので、仕方なく顔をあげた。

 「お料理はいかがですか?  美月(みずき)さんは、何がお好きですか?」


 目を向けた先に、愛想笑いとしか思えない顔が、こちらを見ていた。


「ええ。大変おいしく頂いております。私にはちょっと量が多いかしら? そうですね、新鮮なお野菜を使ったサラダやマリネが好きです」


 私も負けじと、得意な笑顔を送り返した。


 これぐらいの料理、ぺろりと平らげられるが、着物がきつくて食べられない!
 好きな食べ物? 
 興味も無いのに聞くんじゃないよ! 
 と、言ってしまいたくなるが、両隣に座る両親の引きつりながら私を見る目が怖い……


 そんな私の目の前に座る彼の両親も、顔は笑っているが、時々彼の肘をつついている事を私は知っている……
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