背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
心と身体…… 美月

「いやあーーーっ!!」

 私は声を上げた。


 真っ赤になって彼を睨むが……

 彼は、私の胸から目を離そうとしない。

 
 胸を見たままの彼の口から、信じられない言葉が漏れた。

「触っていいか?」
 
 そして、私の顔へ目を向けた。


「いいわけないでしょ!」



 叫ぶが、彼の手は、私の胸の膨らみに近づき、指先でそっと触れた。


 やめて!と、叫んだはずなのに……

「ひやっあ……て!」

 背筋がきゅうっとなって変な声になってしまった。


 その声に、彼がびくっとなったのが分かった。
 彼の目が何かに取りつかれたように鋭さに変わった。

 彼の手の平が私の胸を包んだ。


「やめて!」

 と、声を上げるが、彼は、ゆっくり胸を揉みだした。
 こんな状況だが強引でなく、彼の手に優しく触れられている気がする。


「ああっ……」


 逃げよと思うのに、また、変な声ばかり出てしまう……


 その上、彼の手が動くたび、体が熱くなっていくのがわかる。


 どうしてこうなるのよ!
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