花鎖に甘咬み

金の鍵


× × ×




「ねえっ、真弓ほんとどこ行く────」

「あ? 黙ってついて来いつってんだろ」

「そろそろ教えてくれたっていいじゃんっ!」

「うるせーな口塞ぐぞオジョーサマ」

「……うぬ、ぬ、わざとでしょ……」

「バレたか」




はっ、と意地悪く笑う。

私がいやがるのをわかってて、「お嬢様」呼びしてくるなんて、ほんと、性悪。ひん曲がってる、そんなだったら、友だちのひとりもできやしないんだから。




────そういえば、真弓に友だち、っているの?


というか、友だちじゃなくても、家族とか……。誰かと親しくしているところをうまくイメージできない。


あまりに、「ひとり」が似合ってしまうというか。それが、当たり前というか、「ひとり」が染みついている、というか……。




と、ついぼんやり考えごとをしていると、頬をむに、ととつぜんつままれる。




「ひょ……っ、ひょっほ、にゃにしゅる……っ!」

「ちとせがぼけっとしてっからだろ」

「してにゃい……!ちゅうか、はにゃしてっ!」




元はというと、真弓がいつまでも行先を教えてくれないからだもん。どこに行くかもわからないまま、歩かされる私の身にもなってほしい。


キッとにらみつけると、ようやく頬が解放される。


うう、伸びた気がする……。
びよんびよんになったらどうしてくれる。




「余所見すんな、危なっかしーんだよ」

「はいはいわかってるってば」

「お前は、俺だけ見てろ」

「っ、う」




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