竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~

(4)竜王陛下はウサギロス

ラルフが言ったとおり、その日食事はメイドが部屋まで運んできてくれた。
 お昼ご飯のメニューは肉のソテーと生野菜のサラダ、パンとスープ、それにいちじくの乗ったタルトだ。

「食後の紅茶をご用意しますね」
「ありがとうございます」

 普段、自分のことは全て自分でやっているミレイナは食事を配膳されるだけで恐縮してしまう。ましてや、ここへは招待されたわけでもないのだから。
 お礼を言うと、メイドはにっこりと微笑んだ。ミレイナはその女性を見上げて、釣られるように微笑む。

(この人、あの日にジェラール陛下の部屋の掃除をしていた人だわ)

 赤みを帯びた茶髪に、少しだけ低い鼻、くりっとしたグリーンの瞳。笑顔に愛嬌のある女性だ。名前は確か──リンダだっただろうか。

「なにかご入り用だったら、部屋のこの鈴を鳴らして下さいね。メイドの控え室に繋がっているから。わたしは普段別の場所を担当しているからいないかもしれないけれど、別の人が来てくれるはずよ」

< 59 / 319 >

この作品をシェア

pagetop