センチメンタル・ジャーニー ~彼を忘れるための一人旅
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奏斗と一緒に 来るはずだった クアラルンプール。

「すごく 良い所だよ。物価が安いから 良いホテルに 泊まれるし。イスラム系の人って 顔は怖いけど すごく親切なんだ。綺麗な建物も たくさんあるから。葉月の仕事にも 絶対に 刺激になるよ。」

大学生の頃 一度 来たという 奏斗は 

クアラルンプールを とても 気に入っていて。


奏斗が よく 話していたから

私も いつの間にか 

クアラルンプールが 好きになっていた。


来年は 絶対 2人で来ようって 言っていたのに。

多分 もう 2人で来ることは ないだろう…


奏斗に 黙って ここに来たことは

私の 奏斗に対する 小さな反抗。


この旅行で 気持ちを 切り替えるって…


日本に 帰ったら 私は 笑顔で 奏斗に 別れを言える。

そうなるために 1人の時間が 欲しかった。

誰にも 邪魔されずに 心を 整理したかった。


それに もう私は 1人でも 大丈夫って。

自分に 自信が持てるように。


私は 奏斗と別れても カンナさんみたいに

いつまでも 奏斗を 振り回したくないから。

 




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