そのころ、わたしはまだ幼稚園の年中さんだったけど、裕生が家に来た日のことは、不思議なほどよく覚えている。

 友だちのなっちゃんの家から帰ると、玄関に見たことのない靴が置いてあった。

 わたしのより小さい、男の子がはく靴。
 
 家に入ると、知らない男の子が、ソファーにちょこんと座って、棒付きアイスを食べていた。

「沙希、おかえり。裕生くんよ。今日からうちで暮らすことになったの。3歳だから、沙希のほうがお姉ちゃんね。仲良くしてあげてね」

 お母さんが言った。

「ゆうせい……くん?」